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かけがえのない40分ー後編

なんとかベッドまで案内できたまではいいが、何もかもが初めてのことで一体どうしたらいいのか
分からず、ただ立ち尽くすだけであった。

「はいはい、ではそこに寝てくださいね。」

言われたとおりに寝ることに。

「はい、今から始めますよ。」

背中に指の力がかかる。

しかしこれが意外と気持ちよかった。

緊張はいつしか快楽へと変わっていった。

ここで世間話が始まる。

「松山は初めてですか?」

「いいえ、違います。」

「そうですか。でもここまで来るの大変だったでしょ。」

「まぁ、はい、」

「昼頃から電車に乗ってた人達は雷のせいで電車が止まったそうよ。大変だったわねえ。ふふ。」

「そうだったんですか。」

まだ緊張が残っていたのか、返事もどこかぎこちない。


「もう晩御飯は食べたの?」

「いや、まだです。」

「そりゃいけない、これが終わったらちゃんと食べるのよ。」


私はその言葉に愛を感じた。

なぜか懐かしく感じるのはなぜだろうか・・・・


そうだ。祖母だ。

私は10年前に他界した祖母を思い出した。亡くなるときには脳梗塞で完全に意識を失っていたが、もし今も元気だったらこんな会話をしていたのだろうか。

「もうね、私くらい歳をとったらほとんど食べなくなるわ。あまり食べすぎてもダメだしね。」

「そうですか」

相変わらずそっけない返事をしていたが、私は確かに感じていた。

そこには愛があったのだ。

時折痛くなる右肩も「よくなるから我慢してね」と力強く押してくれた。

それも紛れもない愛であった。

祖母が私に会いに来てくれたのだろうか。


しかしあっという間だった。

3300円に対し、5000円を手渡した私だが、5000円ということを確かめもせず、

さっさとお釣りを返してきた。

信用しているのか、それとも慣れているのか。


再びドアの方向へ導く。なんとかたどり着いた老婆は最後にこう言いのこした。

「わかったわね。ちゃんとご飯を食べるのよ」と。

ここで驚いたことがあった。

老婆の後ろにはだれもいなかったのだ。

まさか一人で来たというのか。

「一人で帰れますか?」などと聞くのは余計なお世話だと感じた私は

最後まで「分かりました」と、そっけない返事を貫いてしまった。


これから私はどんな人と出会うのだろう。

ふと窓の外を見る。
灰色の空から降ってくる涙のような雨が松山を包んでいる。
これから始まる負け犬人生の予兆だろうか。

しかし私は幸せだった。こんな素晴らしい女性と出会えたことが。

一人の女性の愛に包まれ、
私はまた少し成長したような,そんな気がした。

――――――――――完―――――――――――
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いい話です。感動です。
プロフィール

田代まさし

Author:田代まさし
高専卒で財閥系重機械工業に入社するが、手取り13万という
大手とは思えない収入。
そんな人生に終止符を打つため、清志塾に加入するも、貯金100万を失ってしまう。。。

清志塾で地獄に落ちた負け犬が形勢逆転を狙います!!

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